やけどとは

やけどは正式名称を「熱傷」と言い、日常生活で最も多い外傷の1つです。高温の液体や固体に触れたことで起こるものだけでなく、比較的低い温度で生じる場合や、薬品や電流などが原因になるものもあります。
やけどの深さや範囲によっては命に関わることもあるうえ、重症でなくても適切な治療を行っていなければ傷跡が残る可能性もあります。
当院では平日21時まで、土日祝も18時まで診療しています。やけどをした時はできるだけ早く受診しましょう。
やけどの原因
液体
鍋や電気ポットのお湯、コーヒーや味噌汁などの飲み物、カップ麺、天ぷら油など。
固体
ストーブ、アイロン、ホットプレートなど。
気体
炊飯器やポットの湯気、ファンヒーターの吹き出し口など。
薬品
漂白液(次亜塩素酸ナトリウム)、洗剤(強アルカリや水酸化ナトリウム)など。
電流
バッテリー、落雷など。
低温やけどの原因
湯たんぽ、電気毛布、使い捨てカイロなど。
やけどの治療
やけどは深さによって分類され、それぞれで症状や治療法が異なります。
損傷レベル | 症状 | 治癒期間 | 火傷の痕 | |
---|---|---|---|---|
Ⅰ度 | 表皮のみ | 赤みや痛み 熱さを感じる |
数日 | ほとんど残らない |
浅達性Ⅱ度 | 真皮に及ぶ | 水ぶくれ 強い痛み |
1~4週間 | ほとんど残らない |
深達性Ⅱ度 | 水ぶくれ 痛みは弱い |
残ることが多い | ||
Ⅲ度 | 皮膚全層から 皮下組織まで |
痛みを感じない | 1ヶ月以上 | 残る |
浅いやけどの治療
Ⅰ度・浅達性Ⅱ度の場合、軟膏ややけど専用の保護シートなどで治療します。傷に細菌が増殖した場合は感染対策のための治療を行いますが、順調に治れば傷跡はほとんど残りません。
また、色素沈着を防ぐためには紫外線対策が有効です。
深いやけどの治療
皮膚が壊死してしまうほどのやけどの場合は、切除手術などの外科的治療を行います。やけどの範囲や広さにもよりますが、基本的には入院が必要です。
やけどの応急処置
- ただちに流水で5分~30分冷やします。広範囲であれば、お風呂のシャワーなどを使います。ただし、小児や高齢者は低体温に注意してください
- 保冷剤や氷などを使った冷却は凍傷を起こす危険があるため避けてください
- 水ぶくれができていれば破らないようにします
- 無理に服を脱がせないでください
- 手指のやけどの場合は指輪を外してください など
子供のやけど
カップに入った飲み物をこぼした、加湿器やストーブに触れたなど、子供のやけど事故がよく起こっています。顔や頭をやけどしたり、広範囲にやけどを負って入院したりといった事例もあり、やけど事故を防ぐ対策が重要です。
家庭でできる対策
- 炊飯器や電気ポットなどがあるキッチン、暖房器具などのまわりにはベビーサークルやネットなどを設置する
- 転倒してもふたが開きにくい構造やチャイルドロック機能のある製品を選ぶ
- アイロンやヘアアイロンは十分冷めるまで近づけさせない
- テーブルクロスの使用を控える
- スープや熱い飲み物は子供の手の届かない場所に置く
- 電源コードはまとめ、電気ソケットをふさぐ
- 電気カーペットや湯たんぽなどを使用しない など
- 子供がやけどをしたら
- 範囲が広い・顔面にやけどを負った時はすぐに救急車を呼ぶ
- やけどの範囲が片足・片腕以上の時は救急車を呼ぶか、すぐに受診する
- 手の平以上のやけどや水ぶくれができている時は、つぶさないように受診する
- 低温やけどは見た目より重症なことがあるので、様子がいつもと違えば早めに受診する など