睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりして、低酸素状態になることを睡眠時無呼吸症候群(SAS)と言います。この病気の方は、10秒以上呼吸が止まる「無呼吸」、呼吸が弱くなる「低呼吸」などの症状が1時間に5回以上繰り返されます。
高血圧や糖尿病、脳卒中、心筋梗塞などのリスクを高めると言われており、これらの合併症によって突然死する例もあるため、正確な診断と治療が重要です。睡眠時間は足りているはずなのに日中の強い眠気やいびき、だるさなどを感じている方は、当院までご相談ください。
合併症のリスク
睡眠時無呼吸を放置しておくと睡眠時無呼吸がない方と比べるて血管や全身に負担がかかり以下のような疾患のリスクが、上昇してしまします
- 脳卒中:3.51倍
- うつ:4.99倍
- 高血圧:2.14倍
- 心不全:4.30倍
- 虚血性心疾患:2.54倍
- 2型糖尿病:2.29倍
睡眠時無呼吸症候群の原因
睡眠時無呼吸症候群は、原因によって大きく2つに分類されます。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群
肥満、小さい顎、舌根沈下、飲酒、睡眠薬の使用などによって、空気の通り道が狭くなることが原因です。鼻炎などの鼻づまりがある、小児のアデノイドや扁桃肥大なども無呼吸を起こしやすいと言われています。
中枢性睡眠時無呼吸症候群
脳から呼吸をするよう指令が来なくなってしまうために生じます。脳卒中や心機能低下で見られますが、発症のメカニズムははっきりとはわかっていません。
睡眠時無呼吸症候群の症状
昼間の症状
- 日中の眠気がある
- 朝起きても疲れが残っている
- 血圧が高い
- 倦怠感がある
- 頭がぼーっとする など
夜間の症状
- 周囲の人からいびきを指摘された
- 息が止まる感じがある
- 寝汗をかく
- 寝相が悪い
- 何度もトイレに起きる など
睡眠時無呼吸症候群の検査
簡易検査
鼻・指・動作の3つのセンサーを使い、呼吸・いびき・SpO2(酸素飽和度)・脈拍を測定する検査です。当院が使用しているキットはコンパクトで装着が簡単なので、ご自宅で検査可能で、1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数を求めることができます。
重症度分類
AHI(無呼吸・低呼吸指数)によって、重症度を分類します。
- 正常:0~5
- 軽症:5≦AHI<15
- 中等症:15≦AHI<30
- 重症:30≦AHI
精密PSG検査
簡易検査で20<AHI<39だった場合、精密PSG検査で脳波や呼吸、眼球、筋肉の動きなどを記録します。当院の睡眠時無呼吸の検査はキットはご自宅に郵送され、ご自宅で検査が可能です。1泊の入院検査の必要はありません。
睡眠時無呼吸症候群の治療
検査の結果、適応があった場合、CPAP(持続気道陽圧治療)が第一選択となります。睡眠中に鼻に付けたマスクから持続的に空気を流して圧力をかけ、気道を広げて閉塞を防ぐ装置です。マスクが問題なく使えれば、自覚症状が強い方ほど劇的な効果を感じることができます。治療には健康保険が適応されます。
効果としては、短期的には日中の眠気、朝の疲労感の改善、高血圧症や糖尿病、心不全など、睡眠時無呼吸症候群に関連した合併症を是正したり未然に防ぐ効果があります。
睡眠時無呼吸症候群の予防
肥満の解消
睡眠時無呼吸症候群の大きな原因の1つは肥満です。特に男性は30代を過ぎると脂肪が付きやすく、喉や首まわりの筋力も衰えてきます。適度な運動やバランスの良い食事で適正体重を維持していくことが大切です。
寝る体勢を変える
仰向けの姿勢は、重力によって舌根が気道に沈み込みやすくなります。うつ伏せ寝や横向きに寝ることで症状が改善する場合もあります。
飲酒習慣の見直し
アルコールは上気道の筋肉を弛緩させ、無呼吸になるリスクが高まります。特に就寝前の飲酒は控えた方が良いでしょう。
鼻呼吸を意識する
口呼吸は上気道が閉塞しやすくなります。口を閉じて鼻呼吸をすることで、口腔内の浄化作用や雑菌除去などの向上が期待できるため、普段から鼻呼吸を意識しましょう。