「何となく」のお悩みでもご相談ください

甲状腺は喉仏の下にある、蝶のような形をした4~5cmほどの臓器です。身体全体の新陳代謝を促進する働きのある甲状腺ホルモンを分泌しており、ここに異常が出るとホルモンバランスが乱れ、様々な不調が現れます。
甲状腺の病気は女性に多く、月経周期の異常や不妊・流産の原因になることもあります。身体がだるい、何となく元気が出ないなどのお悩みがサインになるため、気になる症状があれば当院へご相談ください。
主な甲状腺疾患
甲状腺の病気は、大きくは甲状腺ホルモンが多すぎる場合と、不足している場合に分かれます。いずれの病気も、適切な治療と定期的なフォローアップが重要です。当院では甲状腺機能に関する検査・診断・治療に対応していますので、お気軽にご相談ください。
以下、代表的な2つの病気について解説します。
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
バセドウ病の原因
バセドウ病は、甲状腺ホルモンの過剰な産生によって引き起こされる病気です。免疫系が甲状腺を誤って攻撃し、甲状腺ホルモンを刺激することが原因です。甲状腺にできる腫瘍や甲状腺の炎症によって引き起こされることもあります。
また家族に既往がある場合や、風邪薬、サプリメントなどが甲状腺ホルモンの過剰な産生を促進する可能性もあります。
バセドウ病の症状
- 疲れやすい
- 暑がり、汗をよくかく
- 体重減少
- イライラする、集中力低下
- 動悸・息切れ
- 筋力低下
- 手指の震え
- 月経の回数が少ない、無月経
- 目が飛び出して見える
- 首や喉元の腫れ など
バセドウ病の検査
バセドウ病の診断には、血液検査、超音波検査(甲状腺エコー)、放射線検査(甲状腺スキャン)、甲状腺抗体検査などを用います。併せて、症状の詳しい聞き取りや甲状腺の腫れ・眼球の突出などの確認を行います。
バセドウ病の治療
治療の目標は、甲状腺ホルモンのレベルを正常範囲に戻して症状を緩和することです。重症度や年齢、全身の健康状態に基づいて個別に治療計画を設定します。
一般的には甲状腺ホルモンの産生を抑制する薬物療法を行い、それでも改善が見られない場合は放射線による治療や甲状腺摘出手術を検討します。
橋本病(甲状腺機能低下症)
橋本病の原因
橋本病は、甲状腺ホルモンの不足によって引き起こされる疾患です。免疫系が誤って甲状腺組織を破壊したり、手術によって甲状腺の一部または完全に摘出したりといった理由で、甲状腺ホルモンの産生が不足することがあります。
また妊娠中に甲状腺機能低下症が発生した場合、胎児の健康に影響を与える可能性があります。
橋本病の症状
- 疲労感
- 寒さを感じやすい
- 皮膚の乾燥、爪や髪が脆くなる
- 筋肉のこわばり、関節の痛み
- 体重増加
- 筋力低下
- 頭痛や集中力の低下
- 無排卵・無月経、生理不順
- 便秘
- まぶたの腫れ など
橋本病の検査
視診や触診によって、甲状腺の腫れや硬さを診察します。頸部の違和感や不快感などがある方や、周囲からの指摘で気づかれる方もいらっしゃいます。また、血液検査で甲状腺自己抗体を測定することもあります。
橋本病の治療
最も一般的な治療法は、合成甲状腺ホルモンの補充療法です。甲状腺ホルモンの不足を補う役割を果たす薬で、通常は経口での服用です。これ以外に疲労感や体重増加、便秘などへの対症療法も行います。また食事や運動、ストレスの緩和などが疾患の管理に役立ちます。
妊娠中の女性は、甲状腺ホルモンの適切なレベルを維持するために入院が必要になる場合もあります。