いぼとは

いぼは、皮膚から盛り上がっている小さなできものを表した俗語で、正式には「疣贅(ゆうぜい)」と言います。いぼの多くはウイルスが原因になり、できる部位によって名前が変わります。痛みはほとんどなく、命に関わる病気ではありませんが、大きくなったり感染が広がったりすることもありますので、正しく診断・治療することが重要です。いぼでお悩みでしたら、当院へご相談ください。
いぼの原因
主な原因はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染です。傷口などからウイルスが侵入して発症すると言われ、接触感染で広がることが多いのが特徴です。HPVにはいろいろな型があり、感染したウイルスの種類によって症状が異なります。
また子供に多い「水いぼ」は伝染性軟属腫ウイルスが原因となるため、別のものとして扱います。
ウイルス感染によるもの
尋常性疣贅
手指や爪の周辺、顔、足の裏などにできるいぼで、HPVが原因です。水に触れる仕事をしている人や爪の周囲に小さな傷がある方などによく見られます。爪をかむ癖があると、爪から爪、口のまわりに感染が広がることもあります。
ミルメシア
HPVの感染によるもので、手の平や足の裏によく見られます。皮膚や粘膜の小さな傷から入り込み、皮膚の内部に感染することによって発症します。赤くなって痛みを伴う場合もあります。ウオノメと区別がつきにくい時がありますが、お子様の足の裏にできている場合はミルメシアの可能性が高く注意が必要です。
青年性扁平疣贅
HPV感染によるいぼの一種で、顔や手、背中などにできやすく、特に若い女性によく見られます。手の甲に小さな突起が並ぶなど、気づかないうちに増えていることが多くあります。
尖圭コンジローマ
HPVが原因で、性行為によって肛門や性器周辺、口などに感染し、独特な形状のいぼが生じます。潜伏期間が長いことが特徴で、罹患時期の特定が困難です。いぼが治まっても体内にウイルスが潜伏するため、再発する可能性もあります。パートナーと一緒に治療することが重要です。
伝染性軟属腫(水いぼ)
伝染性軟属腫ウイルスが原因で、子供に多いいぼです。痛みはほとんどありませんが、まれにかゆみを感じることもあります
いぼをつぶしてしまうと他の部位まで広がることがあります。皮膚の接触やタオルなどの共有から感染することが多く、集団生活の中でうつることもありますので注意が必要です。
ウイルス以外によるもの
ウイルス感染以外のいぼも存在します。紫外線や加齢などが原因となり、年月をかけて次第に生じることが多いです。
脂漏性角化症
中年以降によく見られ、「老人性いぼ」とも言います。顔や手、腕など、日光が当たるところにできやすく、長年の紫外線や皮膚の老化が原因です。褐色や黒っぽいものが多く、ザラザラした感触です。
軟性線維腫
「首いぼ」「中年いぼ」などと呼ばれ、摩擦や加齢などが原因です。弱くて薄い皮膚にできやすいのが特徴です。
いぼの治療
いぼの種類や大きさ、数などにもよりますが、多くは液体窒素を使って凍結させる方法で除去します。マイナス196℃の液体窒素によっていぼが壊死すると数日でかさぶたになり、その下から正常な皮膚ができてきます。ガーゼなどでの保護は必要なく、当日から入浴できるため、負担の少ない治療方法です。
足の裏や爪のまわりなどは治りが遅いこともあり、いぼが残っている時は数回の治療が必要です。液体窒素によって周囲への色素沈着が懸念される部位に対してはレーザーの治療を行うこともあります。