
健康診断で血糖の高さを指摘され、何科にかかるべきか迷っていませんか。 厚生労働省の調査では20歳以上の男性の16.8%が糖尿病が強く疑われる人にあたり、初期は自覚症状に乏しいとされています。
この記事では、一般内科と専門医の違いや、検査数値に応じた受診の目安を整理します。 当日の検査手順や、仕事と両立して通院を継続できる医院の選び方も詳しく紹介します。
受診基準がわかることで、適切な受診先を冷静に選び、合併症のリスクを遠ざけることにつながるといえます。
糖尿病は何科?まずは内科で相談できる
糖尿病は何科にかかるべきか迷った際は、まず身近な一般内科で相談できます。 健診で血糖の高さを指摘された場合でも、最初から遠くの大きな病院を探す必要はありません。 一般的な内科クリニックであっても、血液検査や尿検査を通して体の状態を詳しく調べられます。 普段から通いやすい地域の診療所に健診結果を持参し、体調や不安を医師に伝えることが健康維持の第一歩といえます。
糖尿病の診療は内科が担当し、かかりつけ医で続けられることも多い
糖尿病の診療は内科が担当し、病状が安定していれば身近なかかりつけ医のもとで治療を続けられます。 日本糖尿病学会でも、症状が落ち着いている場合は一般のかかりつけ医で治療を受けられることが多いと示されています※。
通院時は、血液検査で血糖値や過去1〜2カ月の血糖状態を反映するHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を測定します。 定期的な数値の確認とあわせて合併症の兆候がないかを把握し、安定した状態を維持することが治療の基本と考えられています。
身近なかかりつけ医で通院を続ける利点は、以下のとおりです。
- 自宅や職場の近くにあり無理なく通院を継続できる
- 高血圧や脂質異常症といった全身の生活習慣病もあわせて管理できる
- より精密な検査や治療が必要になった段階で専門医を紹介してもらえる
糖尿病の治療は長期間にわたる生活習慣の改善が欠かせません。 通いやすく相談しやすいクリニックを選ぶことが、治療を中断させないための土台になるといえます。
糖尿病内科・糖尿病専門医とは何が違うのか
糖尿病内科・糖尿病専門医とは、糖尿病に関する深い専門知識を持ち、専門性の高い治療や療養指導を担当する医師および診療科です。 一般内科が幅広い病気の初期対応や安定期の管理を担うのに対し、専門医は治療方針の調整や合併症の専門管理に特化しています。
日本糖尿病学会の専門医は、学会が定めた研修と審査をクリアした医師であり、資格は5年ごとに更新審査が行われます※。 専門医は医療チームのリーダーを務めるだけでなく、地域のかかりつけ医と連携して診療への助言を行う役割も担っています。
一般の内科と糖尿病専門医の違いを下表にまとめました。
| 比較項目 | 一般内科(かかりつけ医) | 糖尿病内科・糖尿病専門医 |
|---|---|---|
| 主な役割 | ・生活習慣の改善指導や初期診断 ・病状安定期の定期的な血糖管理 |
・血糖コントロール困難時の治療調整 ・進行した合併症の精密な管理 |
| 担当医師の背景 | 幅広い病気を総合的に診る内科医 | 学会基準の研修を修了した専門医(5年ごとに更新) |
| 通いやすさの目安 | 住宅街や駅前など身近に多く通院しやすい | 総合病院や専門クリニックが多く予約制が中心 |
専門医への受診を希望する場合は、直接総合病院へ行くのではなく、かかりつけ医に相談して紹介状をもらう受診形態が一般的です。 各地の専門医や所属する施設名は、日本糖尿病学会の公式ホームページで確認できる体制が整えられています※。
日本糖尿病学会が示す、かかりつけ医から専門医への紹介が検討される5つの状況
日本糖尿病学会が示す、かかりつけ医から専門医への紹介が検討される5つの状況とは、専門的な治療を要する医学的基準です※。 病状に応じて適切な医療機関につなぐため、日本糖尿病学会と日本医師会により明確なガイドラインが策定されています※。
紹介が推奨される具体的な状況は、次のとおりです。
- 血糖コントロールの改善や治療調整 お薬を使っても目標に届かない状態が3カ月以上続く場合や、治療の変更に悩む場合です。 体内でインスリンを作る力(内因性インスリン分泌)が著しく衰えている方や、重い低血糖を繰り返す方、妊娠中の方も対象になります。 なお、血糖コントロール目標(HbA1c)は、血糖正常化を目指す際は6.0%未満、合併症予防は7.0%未満、治療強化が困難な場合は8.0%未満とされています。
- 教育入院 糖尿病と診断された直後などで、食事や運動、お薬の服用、インスリン自己注射の手技などを外来診療だけでは十分に習得できない場合です。 短期間入院して集中的に生活習慣や自己管理の方法を学びます。
- 慢性合併症の精密管理 高血糖が続くことで血管や神経が傷つき、網膜症(目の障害)や腎症(腎機能の低下)、神経障害がみられる場合です。 狭心症や心筋梗塞、脳卒中、足の血流障害といった大血管の病気のリスクが高い、または発症している際も専門的な治療が求められます。
- 急性合併症への緊急処置 インスリン不足により血液が極度の酸性に傾く糖尿病ケトアシドーシスや、血糖値が300mg/dL以上で著しい脱水症状がある場合です。 命に関わる危険性があるため、迅速な入院処置や緊急治療が行われます。
- 手術前後の厳格な血糖管理 予定している手術や緊急手術を控えており、術前術後に安全な血糖管理が必要とされる場合です。
専門医療機関で治療方針が定まった後は、再び地域のかかりつけ医で治療を続ける「逆紹介」や、両方の医師が協力して診る「併診」も行われます※。 病状に合わせて無理なく治療を続けられる連携体制が整っているといえます。
健診結果の数値から判断する受診の目安

健診結果の数値から判断する受診の目安は、空腹時血糖値と過去1〜2カ月の血糖状態を反映するHbA1cによって段階的に区分されます。 正確な血糖の判定には、絶食10時間以上の空腹時血糖またはHbA1cの値が用いられます※。 自覚症状が現れにくい初期のうちに数値を正しく把握し、判定に応じた行動をとることが大切です。
厚生労働省が定める保健指導判定値と受診勧奨判定値
厚生労働省が定める保健指導判定値と受診勧奨判定値は、糖尿病の早期発見と合併症の重症化を防ぐために設定された医学的基準です※。
判定区分に応じた検査値と推奨される対応を、下表にまとめました。
| 判定の区分 | 空腹時血糖(絶食10時間以上) | HbA1c | 推奨される対応 |
|---|---|---|---|
| 保健指導判定値 | 100〜109mg/dL | 5.6〜5.9% | ・生活習慣の改善に取り組む ・リスクの重複等があれば精密検査 |
| 精密検査推奨 | 110〜125mg/dL | 6.0〜6.4% | ・生活習慣の改善に取り組む ・精密検査を推奨 |
| 受診勧奨判定値 | 126mg/dL以上 | 6.5%以上 | 定期的に医療機関を受診していなければすぐに受診 |
受診勧奨判定値を超えた場合でも、直ちに飲み薬や注射などの治療が始まるわけではありません※。 この判定は、再検査や生活習慣の見直しを含めて医療機関での管理が必要な状態を意味していると考えられています※。 数値を不安に感じて受診をためらわず、まずは医師の診察を受けることが推奨されます。
空腹時血糖126mg/dL以上・HbA1c 6.5%以上は早めに医療機関へ
空腹時血糖126mg/dL以上・HbA1c 6.5%以上は早めに医療機関へ受診すべき糖尿病が強く疑われる水準です。
厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、糖尿病が強く疑われる人の割合は20歳以上の男性で16.8%、女性で8.9%にのぼります※。 過去10年間で男女ともに大きな増減はなく、40代以降から年代が上がるにつれて割合が高まります※。
年代別の割合は次のとおりです。
この段階では自覚症状を感じない場合も多くみられます。 しかし、高い血糖値を放置すると細い血管や太い血管が傷つき、網膜症や腎症、神経障害のほか、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険性が高まると考えられています※。
医療機関では血糖の再確認とともに、合併症を早期に発見するため下記の検査が進められます。
重篤な病気を未然に防ぐためにも、未治療の段階で速やかに内科を受診することが望ましいといえます。
HbA1c 6.0〜6.4%や5.6〜5.9%は精密検査と生活習慣の見直しを
HbA1c 6.0〜6.4%や5.6〜5.9%は精密検査と生活習慣の見直しを行い、本格的な糖尿病への移行を食い止めるべき段階です。 この数値範囲は「糖尿病予備群」や「境界型」と呼ばれ、血糖値を下げるインスリンの働きが弱まり始めている状態を示していると考えられています。
厚生労働省のプログラムに基づく具体的な対応基準を、下記に整理します。
- HbA1c 6.0〜6.4%(空腹時血糖110〜125mg/dL):生活習慣の改善に取り組みつつ、精密検査の受診が推奨される※
- HbA1c 5.6〜5.9%(空腹時血糖100〜109mg/dL):生活習慣を見直し、血圧や脂質など他のリスクが重なる場合は精密検査を受ける※
自覚症状がないため放置されがちですが、血管への微細な負担はすでに生じています。 すい臓の細胞が疲弊しきる前に専門的な助言を受けることが、将来の健康を保つ鍵になるといえます。
口の渇き・多尿・体重減少など自覚症状がある場合の判断
口の渇き・多尿・体重減少など自覚症状がある場合の判断としては、健診の判定区分にかかわらず速やかに医療機関を受診することが原則です。 通常、糖尿病の初期には自覚症状がほとんど現れません。 明らかな体の変化に気づく段階では、すでに血糖値が著しく高い状態で推移している可能性があります。
受診を急ぐべき代表的なサインは、以下のとおりです。
- 水分をいくら飲んでも喉の渇きがおさまらない
- トイレに行く回数や1回の尿量が明らかに増えた
- 普通に食事を摂っているにもかかわらず体重が減っていく
- 休息をとっても抜けない強い倦怠感や疲労感が続く
血糖値が過剰に高くなると、体は余分な糖を尿と一緒に排出しようとするため尿量が増え、脱水状態に陥って喉が渇きます。 さらに、血液中のブドウ糖をエネルギーとしてうまく活用できない状態に陥ると、体は筋肉や脂肪をエネルギー源へと変えようとします。
その結果として、特別な運動や食事制限をしていないにもかかわらず、急激な体重減少が起こる仕組みです。 体調の急変を防ぐためにも、次回の健康診断を待つことなく、すぐに内科を受診してください。
医療機関で糖尿病と診断されるまでの流れ
医療機関で糖尿病と診断されるまでの流れは、採血による血糖値とHbA1cの測定値を照らし合わせ、段階を踏んで慎重に判断されます。 健診の簡易検査と異なり、医療機関では腕の静脈から採血した血漿(血液から血球を除いた液体成分)の糖濃度を正確に測定します。
食事の時間や体調による一時的な数値の変動を除外するため、手順に沿った医学的な評価が必要とされています。 そのため、健診で高値を指摘された場合でも、初回の検査だけで直ちに病名が確定するわけではありません。 一人ひとりの体の状態を正しく見極めるため、再検査を含めた丁寧な確認が行われると考えられています。
糖尿病型と判定される血糖値とHbA1cの基準
糖尿病型と判定される血糖値とHbA1cの基準は、早朝空腹時や食後の血糖値、過去の平均血糖を反映する指標により明確に定められています。 日本糖尿病学会の診断基準では、腕の静脈血漿を用いて数値を評価する取り決めです※。 血糖値は食事の前後で大きく変動するため、採血した時間帯や絶食の条件ごとに判定値が細かく分かれています。
一方のHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は、赤血球の寿命を反映し、過去1〜2カ月間の平均的な血糖状態を示す指標とされています。 当日の食事による一時的な影響を受けにくいため、血糖値と組み合わせることで正確な評価ができるといえます。
糖尿病型と判定される各検査の基準値を、下表にまとめました。
| 検査項目 | 判定条件の目安 | 糖尿病型となる基準値 |
|---|---|---|
| 早朝空腹時血糖値 | 前夜からの絶食(10時間以上) | 126mg/dL以上 |
| 75g経口ブドウ糖負荷試験(2時間値) | 糖入りの検査液を飲んで2時間後 | 200mg/dL以上 |
| 随時血糖値 | 食事の時間を決めずに採血 | 200mg/dL以上 |
| HbA1c(NGSP値) | 過去1〜2カ月の平均血糖 | 6.5%以上 |
75g経口ブドウ糖負荷試験とは、甘いブドウ糖液を飲み、一定時間ごとに採血して体の糖処理能力を調べる詳しい検査です※。 上記の4項目のうち、いずれか1つでも基準を満たす場合に「糖尿病型」と判定されます※。 ただし、糖尿病型と判定された段階は強い疑いがある状態を指し、確定診断にはもう一段階の確認が必要と考えられています。
別の日の再検査で2回確認する原則と、1回で診断される条件
別の日の再検査で2回確認する原則と、1回で診断される条件は、一時的な血糖の乱れを除外し、正しく診断するために設けられています。 血糖値は精神的な緊張や体調不良、直前の食事内容によって一時的に跳ね上がる可能性があります。
そのため、日本糖尿病学会の基準では、原則として別の日に行った再検査でも糖尿病型を確認して初めて診断を下します※。 ただし、HbA1cのみを別の日に2回繰り返して高値であっても、血糖値の異常がなければ糖尿病とは診断できない決まりです※。
一方で、初回の検査のみで確定診断に至る例外的な条件も明確に定められています。 血糖値が糖尿病型であり、かつ特定の所見がみられる場合は、1回の検査で糖尿病と診断できるとされています※。
血糖値が糖尿病型であることに加え、1回で診断が確定する条件は以下のとおりです。
血糖値とHbA1cが同時に高値であれば、慢性的な高血糖が続いている証拠となるため再検査を待たずに治療方針が立てられます。 典型的な自覚症状や網膜症がある場合も、すでに体に強い負担がかかっている状態と判断されるためです。 初回の検査で条件を満たさず判断がつかない際は、時期を改めて再検査を行い、慎重に経過が追われるといえます※。
境界型と言われた場合の経過観察と再検査
境界型と言われた場合の経過観察と再検査は、本格的な糖尿病への進行を食い止め、全身の血管を守るために行われます。 血糖の判定には、糖尿病型だけでなく「正常型」と「境界型」を含めた3つの区分が設けられています。
正常型とは、早朝空腹時血糖値が110mg/dL未満、かつ負荷試験2時間値が140mg/dL未満の状態とされています※。 この正常型と糖尿病型のどちらにも当てはまらない範囲が「境界型(糖尿病予備群)」です※。
境界型の段階では自覚症状がほとんど現れません。 しかし、正常型より糖尿病へ進む危険性が高く、動脈硬化による血管の障害も比較的起こりやすい状態とされています※。 すい臓から出るインスリン(血糖を下げるホルモン)の分泌低下や働きの鈍さがすでに生じていると考えられています。
境界型と判定された場合に推奨される対応を、下記に整理します。
- 食事の工夫や運動の習慣化など生活習慣の改善に取り組む
- 医師の指示に従い、時期をおいて血液検査を受け直す※
- 医師が必要と判断した場合は、糖の処理能力を詳しく調べる75g経口ブドウ糖負荷試験を受ける
自覚症状がない段階であっても放置せず、定期的に通院して体の変化を追うことが将来の健康を守る土台といえます。
「まだ予備群だから」と放置しないための医学的根拠
「まだ予備群だから」と放置しないための医学的根拠は、自覚症状がない初期段階から体内のインスリン分泌機能が衰え始め、糖尿病への進行や血管への悪影響が静かに進む点にあります。
健康診断で血糖の高さを指摘されても、普段どおり過ごせるため受診を先延ばしにする方は少なくありません。 しかし、血糖値を下げるホルモンであるインスリンを分泌する膵臓(すいぞう)は、予備群の段階ですでに負担を受けて疲弊し始めていると考えられています。
自覚症状が現れない時期であっても、高めの血糖によって全身の血管は徐々にダメージを受け続けます。 進行を食い止めるためには、異常を指摘された段階で内科を受診し、ご自身の血糖状態を正確に把握することが重要といえます。
HbA1c 5.6%以上でも5年以内に糖尿病へ進む割合
HbA1c 5.6%以上でも5年以内に糖尿病へ進む割合は、日本人を対象とした大規模な追跡調査により、数値の上昇に伴って発症リスクが段階的に高まることが実証されています※。
国内でHbA1c 6.5%未満の5万2,781人を平均3.7年にわたり追跡した研究があります※。 その調査では、最初の検査値が高い人ほど、5年以内に糖尿病を発症する割合が上昇することが示されました※。
初回の検査値と5年以内の発症リスクの関係を下表にまとめました。
| 初回のHbA1c値 | 5年以内の糖尿病発症率 |
|---|---|
| 5.5%以下 | 3.6% |
| 5.6〜5.7% | 8.9% |
| 5.8〜5.9% | 13.8% |
| 6.0〜6.1% | 27.5% |
| 6.2〜6.3% | 51.6% |
| 6.4% | 67.8% |
HbA1cが5.6%を超えると発症率は着実に上がり、6.0%を超えると危険性は急激に跳ね上がります。 とくに6.2%以上の層では、経過観察の1年目から発症率が急増することが明らかになっています※。 「基準値よりわずかに高いだけ」と自己判断せず、速やかに内科で詳しい検査を受けることが重要と考えられています。
糖尿病予備群は年間5〜10%が糖尿病に進展する
糖尿病予備群は年間5〜10%が糖尿病に進展するという医学的データがあり、適切な対策を怠ると病状が着実に進行しやすい状態とされています※。
予備群とは、血糖値が正常より高いものの糖尿病の診断基準には至らない段階を指します。 この段階ではインスリンの効き目が悪くなり、膵臓の分泌機能も低下し始めていると考えられています。 生活を見直さないまま過ごすと膵臓が消耗し、高血糖が定着してしまう恐れがあります。
予備群と判定された方の1年ごとの経過を下記に整理します。
予備群の時期は、将来重篤な病気に至るか健康を取り戻せるかの大きな分かれ道といえます。 自覚症状がないからと受診を先延ばしにせず、早めに生活習慣の是正を進めることが大切です。
早期の生活習慣改善で発症リスクを4〜7割下げられる
早期の生活習慣改善で発症リスクを4〜7割下げられることは、国内外の大規模な臨床試験によって医学的に実証されています※。
予備群の段階は、日常の食事や運動を見直すことで病気の進行を食い止められる重要な時期です。 適切な生活改善を行うと、低下しかけたインスリンの働きを高め、膵臓への負担を和らげられると考えられています。
国内外の代表的な大規模研究における予防効果は、以下のとおりです。
これらの報告は、早期の生活介入が長期間にわたって効果を発揮することを示しています。 予備群であれば、お薬に頼らず生活習慣の工夫だけで血糖の安定を目指せる可能性があります。 健康診断で指摘を受けた際は自己判断で放置せず、まずは地域の医療機関へ相談することが推奨されるといえます。
初めて受診するときの準備と当日の検査

初めて受診するときの準備と当日の検査は、必要な持ち物をそろえて検査の仕組みを知っておくことで落ち着いて進められます。 健康診断で血糖の高さを指摘されると、どのような検査を受けるのか不安に感じる方は少なくないといえます。
初診時は問診や採血、採尿などを通じて、現在の体の状態を医学的に詳しく確かめます。 検査の意図や当日の流れを事前に把握しておくと、受診時の心理的な負担を和らげられると考えられています。
健診結果票とお薬手帳を持参する
健診結果票とお薬手帳を持参することは、医師がこれまでの病状の推移や服薬状況を迅速に把握するために欠かせません。 健診結果票には血糖値だけでなく、血圧や脂質、肝機能や腎機能といった全身の検査データが網羅されていると考えられています。
糖尿病は単独で発症するだけでなく、高血圧や脂質異常症を伴うケースが多いため、全身の状態を総合的に判断することが大切といえます。 直近の結果だけでなく、過去数年分の結果票があれば、数値がいつ頃から悪化し始めたのかという経過も確認できます。
普段から飲んでいるお薬やサプリメントの情報を伝えることも、安全な治療方針を決めるうえで重要とされています。 服用中のお薬の種類によっては血糖値に影響を与える場合があり、新しく処方するお薬との飲み合わせも確認しなければなりません。
受診当日に持参したい持ち物は次のとおりです。
- 健康診断の結果票(可能であれば過去数年分)
- お薬手帳(服用中のお薬やサプリメントの情報)
- 健康保険証またはマイナンバーカード
- 気になる自覚症状や生活習慣をまとめたメモ
事前に喉の渇きや尿の回数、体重の増減などをメモしておくと、診察時の問診がスムーズに進む可能性があります。
空腹時血糖は絶食10時間以上が目安、HbA1cは食後でも測れる
空腹時血糖は絶食10時間以上が目安、HbA1cは食後でも測れるという特徴を知っておくと、受診のタイミングを柔軟に選べます。 健康診断の血糖検査では、食事による血糖値の上昇を除外するため、10時間以上の絶食を経た空腹時血糖が測定される仕組みです※。
一方で、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は、血液中の赤血球とブドウ糖が結合した割合を反映する検査項目とされています※。 赤血球の寿命に基づき過去1〜2カ月の平均的な血糖状態を示すため、直前の食事による影響をほぼ受けないと考えられています※。
空腹時血糖とHbA1cの主な特徴の違いを下表にまとめました。
| 検査項目 | 食事による影響 | 測定できる内容 | 受診時の利点 |
|---|---|---|---|
| 空腹時血糖 | ・10時間以上の絶食が必要 ・直前の食事で数値が変動する |
・採血した時点の血糖値 ・基礎的なインスリンの分泌状態 |
・朝一番の受診に適している ・健診と同じ条件で比較できる |
| HbA1c | ・食事の影響をほぼ受けない ・食後すぐの採血でも測定可能 |
・過去1〜2カ月の平均血糖値 ・長期的な血糖管理の状態 |
・仕事帰りなど日中の受診が可能 ・当日の食事時間を気にせず受診できる |
平日の仕事帰りなど絶食が難しい時間帯であっても、HbA1cを測定すれば病状の評価を進められます。 厚生労働省の基準でも、正確な血糖の判定には絶食10時間以上の空腹時血糖またはHbA1cが用いられると示されています※。
受診勧奨判定値(空腹時血糖126mg/dL以上またはHbA1c 6.5%以上)に達していても、直ちに服薬が始まるわけではありません※。 再検査や生活指導を含めた管理を始める合図ですので、「食事をとったから」と先延ばしにせず受診することが大切といえます※。
血液検査・尿検査に加えて眼底検査や腎機能の確認が必要な理由
血液検査・尿検査に加えて眼底検査や腎機能の確認が必要な理由は、自覚症状が出にくい糖尿病の三大合併症を早期に発見するためです。 血液中にあふれた余分なブドウ糖は、全身を巡る微細な毛細血管を少しずつ傷つけると考えられています。
細い血管が集中している「目(網膜)」「腎臓」「手足の末梢神経」はとくに障害を受けやすく、初期の段階では自覚症状がほとんど現れません。 気づかないうちに病状が進行する恐れがあるため、未治療で受診勧奨判定値を超える場合は、初診時から全身の合併症を調べることが推奨されています※。
三大合併症を調べる主な検査と確認内容を下記に整理します。
- 眼底検査(眼科連携):目の奥にある網膜の血管を観察し、出血などの網膜症の兆候を調べる
- 腎機能検査(採血・採尿):尿中アルブミンや血液中のクレアチニンを測定し、腎臓のろ過機能を調べる
- 神経障害の診察(問診・診察):手足のしびれやチクチク感、感覚の鈍さや腱反射の反応を調べる
日本糖尿病学会の紹介基準でも、網膜症や腎症などの慢性合併症が認められる場合は、専門医による精密な管理が推奨されています※。 HbA1cを合併症予防の目標値である7.0%未満に保つことが、将来の視力障害や人工透析を防ぐ土台になるといえます※。 内科での定期的な採血や採尿とあわせて、眼科での定期的な眼底検査を並行して受けることが重要と考えられています。
働きながら通いやすい受診先の選び方と当院のご案内
働きながら通いやすい受診先の選び方と当院のご案内は、生活リズムを崩さずに通院を継続できる環境と、病状に応じた適切な連携体制を確認することです。
糖尿病の治療は長期間に及ぶため、無理なく通い続けられる医療機関を選ぶ視点が欠かせません。 病状が安定していれば、身近なかかりつけ医のもとでも十分に通院治療を続けられます※。 日常の診療では、血糖値やHbA1cの数値を定期的に確認し、合併症の兆候を見逃さない管理が重要とされています※。
より詳しい検査や治療の調整が必要になった際は、かかりつけ医から専門医を紹介してもらう流れが一般的です※。 日本糖尿病学会の専門医は、5年ごとの更新審査を受け、かかりつけ医への診療助言や地域連携を担っています※。 通勤ルートや生活圏に合わせ、専門機関とも連携のとれた通いやすいクリニックを選ぶことが大切といえます。
平日夜間や土日祝に診療している内科を選ぶ
平日夜間や土日祝に診療している内科を選ぶことは、受診の先延ばしを防ぎ、自覚症状のない初期から治療を中断させないために有効です。
糖尿病は自覚症状に乏しいため、仕事の忙しさを理由に通院を中断してしまう方が少なくありません。 平日の日中しか開いていない医療機関では受診の予定が立てにくく、数値の悪化を放置する原因になります。 夜間や休日の診療枠が用意されていれば、お仕事の都合を優先しながら無理のない通院スケジュールを維持できます。
働きながら通院しやすいクリニックを見極める主な基準を、下記に整理します。
- 会社帰りにも立ち寄れる平日夜間の遅い時間まで診療を受け付けているか
- 週末の空いた時間を利用できる土曜日や日曜日、祝日にも診療しているか
- 最寄り駅から徒歩圏内にあり、雨天などの悪天候でも移動の負担が少ないか
- スマートフォンやWEBから手軽に受診予約や日程変更ができるか
通院にかかる心理的・身体的な負担を減らすことは、治療への意欲を保つうえでも効果的と考えられています。 生活動線の中で立ち寄りやすい医療機関を確保することが、将来の合併症リスクを遠ざける土台になるといえます。
クリニックファーストエイドの内科での対応と診療時間
クリニックファーストエイドの内科での対応と診療時間は、働く世代の方が生活リズムを保ちながら受診を続けられる体制を整えています。
当院の内科では、健診で血糖の数値を指摘された方の初期対応をはじめ、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病を幅広く診療します。
当院の診療時間やアクセスなどの基本情報を、下表にまとめました。
| 項目 | 診療体制の詳細 |
|---|---|
| 診療時間(平日) | 9:30〜14:30 / 16:00〜21:00 |
| 診療時間(土日祝) | 9:00〜13:00 / 14:00〜18:00 |
| 休診日 | なし(土日祝も診療) |
| アクセス | ・JR神田駅より徒歩0分 ・駅から至近で通いやすい立地 |
平日は夜21時まで、土日や祝日も夕方18時まで診療を行っています。 受付は各診療終了時刻の15分前まで承っています。 ご予約はお電話のほか、WEB予約や公式LINE(24時間受付)からも承っています。 健診結果票やお薬手帳をお持ちのうえ、ご都合の良い時間帯にお気軽にご相談ください。
まとめ
健康診断で血糖の高さを指摘された際は、大きな病院を探す前にまず身近な一般内科を受診するのが適切な目安といえます。
糖尿病の初期は自覚症状に乏しいものの、放置すると毛細血管が傷つき合併症を引き起こす可能性があります。予備群の段階から食事や運動習慣の改善に取り組むことで、病気の進行を食い止める効果が期待できると考えられています。
将来の健康を守るためにも自己判断で先延ばしにせず、健診結果票を持参して通いやすい地域のクリニックへご相談ください。
参考文献
- 日本糖尿病学会「糖尿病診断基準(国際標準化対応版 2012年)」
- 厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」
- 厚生労働省「令和5年国民健康・栄養調査結果の概要」
- 日本糖尿病学会「糖尿病専門医とは」
- 日本糖尿病学会「かかりつけ医から専門医・専門医療機関への紹介基準」
- Kawahara T, et al. Incidence of Type 2 Diabetes in Pre-Diabetic Japanese Individuals Categorized by HbA1c Levels: A Historical Cohort Study. PLoS One. 2015;10(4):e0122698.
- Tabák AG, Herder C, Rathmann W, Brunner EJ, Kivimäki M. Prediabetes: a high-risk state for diabetes development. Lancet. 2012;379(9833):2279-2290.
