
健康診断でHbA1cが5.6%と指摘され、糖尿病ではないかと不安を感じていませんか。基準値の5.5%をわずかに超えた段階では自覚症状がなく、対応に迷う人は少なくないといえます。
厚生労働省の基準において、5.6%は生活改善を促す保健指導判定値とされています。この記事では、日本人約5万人のデータが示す発症リスクや内科で確認すべき項目を整理します。
数値の背景にあるリスクを把握できれば、今取るべき行動がわかり、基準値へ引き戻す対策につながると考えられます。
HbA1c 5.6%は糖尿病ではないが、将来のリスクを知らせる数値
HbA1c 5.6%という数値は、現時点で糖尿病ではないものの、将来的な発症リスクが高まり始めている警戒ラインといえます。
健診で5.6%と判定されても、直ちに内服薬による治療が始まる段階ではありません。 厚生労働省の基準では、5.5%以下が基準範囲とされ、5.6%からは生活習慣の改善を促す保健指導判定値に設定されています※。 自覚症状が出にくい時期であるため、早期に食事や運動を整える姿勢が大切と考えられています。
貧血や鉄欠乏、腎臓の病気、妊娠などがあるときは、血糖値と関係なく数値が変動する可能性があります。 健診結果を受け取った際は、体調やお薬手帳の内容を医師に共有することが望まれます。
HbA1cは過去1〜2か月の血糖の平均を示す指標
HbA1cは、採血をした日から過去1〜2カ月の血糖の平均的な高さを反映する指標です。 血液中の赤血球にあるヘモグロビンに、ブドウ糖がどれくらいの割合で結合しているかを測定しています。
血糖値の判定は、正確には10時間以上の絶食を経た空腹時血糖値や、このHbA1cによって行われます※。 日々の食生活や運動の状況が数値に現れるため、血糖状態を正しく評価する上で欠かせない検査といえます。
検査の主な特徴は次のとおりです。
- 直前の食事や運動による一時的な影響を受けにくく、普段の状態を客観的に把握できる
- 正常域を超えて高くなるほど、血管が傷ついて心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こしやすくなる※
- 糖を処理する能力が少し衰えた初期段階を見落とす場合がある※
耐糖能異常(たいとうのういじょう)とは、食事の後に上がった血糖値を正常に戻す力が低下した状態を指します。 HbA1cが基準値近くであっても、食後の血糖値だけが急上昇している隠れた異常までは捉えきれないケースがあるとされています。
糖尿病の目安である6.5%と5.6%の違い
糖尿病の目安である6.5%と5.6%の違いは、糖尿病型と確定される診断基準値に達しているかどうかにあります。
日本糖尿病学会の基準では、HbA1cが6.5%以上のときに糖尿病型と判定されます※。 実際の診断ではHbA1c単独の再検査で確定することはなく、別の日に行った血糖値の測定などを合わせて総合的に判断します※。 これに対して5.6%は、確定基準である6.5%には届いていないものの、正常の上限付近に位置しており、注意深く経過を見る必要がある数値といえます。
2つの数値の違いを下表にまとめました。
| 項目 | HbA1c 5.6% | HbA1c 6.5%以上 |
|---|---|---|
| 診断上の位置づけ | 将来の発症リスクが高い段階 | 糖尿病型(早急な受診が推奨される状態) |
| 自覚症状 | 自覚症状はほとんど現れない | 喉の異常な渇きや多尿などが生じる場合がある |
| 主な対応 | ・生活習慣の見直しを進める ・必要に応じて内科で相談する |
・医療機関で精密検査を受ける ・医師の指導のもとで治療を開始する |
5.6%の段階では体調に違和感を覚えないケースが大半です。 症状がない時期に対策を始めることで、糖尿病への移行を防げる可能性が高まります。
日本糖尿病学会が示す「将来糖尿病の発症リスクが高いグループ」
日本糖尿病学会が示す「将来糖尿病の発症リスクが高いグループ」とは、HbA1cが5.6〜5.9%の範囲にあり、糖尿病ではないものの将来の発症リスクが高い段階を意味します※。
空腹時の血糖値が100〜109mg/dLである正常高値の人も、このグループに含まれます※。 すぐに糖尿病と診断されるわけではありませんが、糖を代謝する力が徐々に低下し始めているサインと考えられます。 同学会では、糖の処理能力を詳しく調べるため、ブドウ糖の入った検査液を飲む75g経口ブドウ糖負荷試験を行うことが望ましいとしています※。
特に注意が必要な要因は下記に整理します。
- 高血圧や脂質異常症など動脈硬化を早める病気がある
体重が増加傾向にあり肥満が認められる - 血縁のある家族や親族に糖尿病の人がいる
正常型と糖尿病型の中間にあたる境界型は、糖尿病へ移行しやすいだけでなく、動脈硬化性の合併症リスクも比較的高いと報告されています※。 HbA1cが5.6%と判定された場合は、血圧や体重といったほかのリスク因子が重なっていないか確かめることが重要です。
厚生労働省の判定基準から見るHbA1c 5.6%の位置づけ

厚生労働省の判定基準から見るHbA1c 5.6%の位置づけは、すぐに治療が必要な病気の段階ではありません。 一方で、将来の生活習慣病を予防するために保健指導が始まる重要な目安となる数値です。
国の「標準的な健診・保健指導プログラム」では、10時間以上の絶食を経た空腹時血糖やHbA1cを正確な判定の指標としています※。 この基準において5.6%という数値は、正常域から注意段階へと移り変わる境目に位置づけられていると考えられます。
自覚症状がない段階だからこそ、健診での指摘を機に日頃の生活リズムを見直すきっかけにすることが大切といえます。
5.5%以下の基準範囲と5.6%からの保健指導判定値
5.5%以下の基準範囲と5.6%からの保健指導判定値は、糖尿病の発症を防ぐために国が定めた境界線です。 動脈硬化による重い合併症を未然に防ぐ目的で設定されています。
HbA1cは正常域を超えて高くなるほど、網膜症や腎症、神経障害といった三大合併症を発症するリスクが高まると報告されています※。 心筋梗塞や脳梗塞など、太い血管が詰まる病気を悪化させる要因にもなり得ます※。 そのため国は、深刻な血管病変が起きる前の段階で生活習慣の改善を促せるよう、5.6%を保健指導の開始値に定めています。
厚生労働省が定める健診の判定区分を下表にまとめました。
| 判定区分 | HbA1c(NGSP) | 絶食10時間以上の空腹時血糖 | 主な健康状態の目安 |
|---|---|---|---|
| 基準範囲 | 5.5%以下 | 99mg/dL以下 | 健康的な血糖状態が保たれている範囲 |
| 保健指導判定値 | 5.6〜6.4% | 100〜125mg/dL | ・生活習慣の乱れを見直す段階 ・動脈硬化や糖尿病の発症リスクに注意が必要 |
| 受診勧奨判定値 | 6.5%以上 | 126mg/dL以上 | ・糖尿病型と判定される水準 ・医療機関での詳しい検査や治療が推奨される |
このように、5.6%は「健康な状態」から「生活を見直すサイン」へと切り替わる重要なポイントといえます。
5.6〜5.9%・6.0〜6.4%・6.5%以上で変わる推奨される対応
5.6〜5.9%・6.0〜6.4%・6.5%以上で変わる推奨される対応は、将来の発症リスクや精密検査の緊急度に応じて段階的に設定されています。
国の基準において、未治療の人が受けるべき対応の違いを次のとおり整理しました。
| 数値区分 | 判定上の位置づけ | 推奨される対応の目安 |
|---|---|---|
| 5.6〜5.9% | 保健指導判定値(軽度) | ・食事や運動などの生活習慣を改善する ・リスクの重複があれば精密検査を検討する |
| 6.0〜6.4% | 保健指導判定値(中等度) | ・生活習慣の改善を進める ・医療機関での精密検査を受けることが推奨される |
| 6.5%以上 | 受診勧奨判定値 | ・速やかに内科などの医療機関を受診する ・確定診断のための精密検査を受ける |
日本糖尿病学会の報告でも、5.6〜5.9%は将来糖尿病を発症するリスクが高いグループと位置づけられています※。 この段階で肥満がある場合は、国の特定保健指導の対象となり、専門職による生活支援を受けられる可能性があります※。
さらに、高血圧や脂質異常症、親族に糖尿病の人がいる場合は、糖の処理能力を調べる「75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)」の実施が望ましいとされています※。 6.0〜6.4%は同学会が「現在糖尿病の疑いが否定できないグループ」としているため、5.6〜5.9%の段階で対策を始めることが進行を防ぐカギとなります※。
HbA1cだけでは軽い血糖の異常を見落とすことがある
HbA1cだけでは軽い血糖の異常を見落とすことがある理由は、軽度の耐糖能異常(血糖値を下げる力の衰え)を捉えにくいためです※。 初期のわずかな変化を検出する検査としては、感度が十分ではないとされています※。
HbA1cは過去1〜2カ月の平均的な血糖状態を示す便利な指標ですが、平均化されることで食後の急激な高血糖が数値に反映されにくい弱点があります。 糖尿病の確定診断では、HbA1c単独の反復測定だけで判定することはなく、別の日に測定した血糖値などを組み合わせて総合的に判断されます※。
見落としが生じやすい背景や注意すべき要因を下記に整理します。
- 食後の短い時間だけ血糖値が跳ね上がる「食後高血糖」が平均値に埋もれてしまう
- 空腹時血糖が100〜109mg/dLの「正常高値」も、将来の発症リスクが高いグループに含まれている※
- 貧血や鉄欠乏など赤血球のターンオーバーに変化があると数値がずれる可能性がある
- 耐糖能の低下が初期段階にあると平均値としての異常が現れにくい
検査値が5.6%にとどまっているからといって自己判断で安心せず、健診結果全体の数値を医師と一緒に確認することが大切と考えられています。
日本人約5万人の研究データが示す5年後の発症リスク
日本人約5万人の研究データが示す5年後の発症リスクは、健診時のHbA1c値のわずかな上昇でも明確な差となって現れます。
この調査は、日本人52,781人を対象に電子カルテのデータを用いて平均3.7年追跡した研究です※。 解析の結果、検査時の数値が高くなるにつれて発症率が段階的に跳ね上がることが確認されました※。 自覚症状がない段階であっても、検査結果に隠れた将来の病気のリスクを正しく読み取ることが大切といえます。
HbA1c 5.5%以下と比べた5.6〜5.7%の発症率
HbA1c 5.5%以下と比べた5.6〜5.7%の発症率は、5年間の追跡で約2.5倍に高まることが示されています※。
基準範囲とされる5.5%以下のグループにおける5年以内の発症率は、3.6%にとどまります※。 一方、わずか0.1%高い5.6〜5.7%のグループでは、発症率が8.9%まで跳ね上がります※。
数値ごとの具体的な発症率の違いを下表にまとめました。
| 検査時のHbA1c | 5年以内の糖尿病発症率 | 将来のリスクの目安 |
|---|---|---|
| 5.5%以下 | 3.6% | 発症リスクが低く保たれている状態 |
| 5.6〜5.7% | 8.9% | 約2.5倍(代謝の乱れが始まりやすい状態) |
5.6%という数値は診断基準の6.5%に届いておらず、すぐに投薬が必要な段階ではありません。 しかし、血液中の余分な糖を処理する力が弱まり始めている身体からのサインと考えられます。 体調に変化を感じにくい時期だからこそ、数値の変化を前向きに見つめ直す姿勢が求められます。
5.8%以上で段階的に高まる発症率
5.8%以上で段階的に高まる発症率は、数値の上昇に伴って加速度的に跳ね上がることが明らかになっています※。
数値がわずか0.2%上がるごとに、糖尿病を発症する確率は大きく跳ね上がります※。 追跡調査における数値区分ごとの5年以内の発症率を下記に整理します。
- 5.8〜5.9%:13.8%(およそ7人に1人が発症)※
6.0〜6.1%:27.5%(およそ4人に1人が発症)※
6.2〜6.3%:51.6%(半数以上が発症)※
6.4%:67.8%(3人に2人以上が発症)※
5.8%を超えると発症率は1割を超え、6.0%台では約4人に1人が糖尿病へと進みます※。 さらに6.2%を超えると、過半数が5年以内に糖尿病型へと至る厳しい現実が示されています※。 HbA1c 5.6%という数値は、急激なリスク上昇が始まる手前の重要な防衛ラインといえます。
予備群の段階では正常値に戻る人もいる
予備群の段階では正常値に戻る人もいるため、早い段階から生活習慣を整えることが健康を守る鍵となります。
将来のリスクが高いグループに当てはまっても、将来確実に糖尿病へ進行するわけではありません。 年間に5〜10%ほどが糖尿病へ進む一方、同程度の人は正常な血糖値に戻るとも報告されています※。
日常生活の工夫によって期待できる身体の変化を次のとおり整理しました。
- 炭水化物の過剰摂取を控えることで食後の急激な血糖上昇を和らげる
- 適度な身体活動を続けることでインスリンの効き目を高められる
- すい臓の疲弊を防ぐことで血糖をコントロールする力を維持できる
- 糖尿病への移行リスクを40〜70%ほど抑えられる可能性がある
糖を代謝する力が保たれている予備群の時期であれば、健康的な数値へ引き戻せる余地が十分にあります。 健診での指摘を良いきっかけと捉え、日々の習慣を少しずつ見直すことが大切と考えられています。
健診の指摘後に内科で確認すること

健診の指摘後に内科で確認することは、現在の正確な血糖代謝の状態を把握し、動脈硬化のリスクを総合的に評価することです。 健診でHbA1c 5.6%と判定された段階では、すぐに飲み薬による治療が始まるわけではありません。 医師は問診や再検査を通じて全身の状態を詳しく調べ、今後の対策を一緒に考えていきます。
自覚症状がない時期だからこそ、数値の背景にある身体の変化を正しく読み解く姿勢が大切といえます。
空腹時血糖とHbA1cを測り直して経過を見る
空腹時血糖とHbA1cを測り直して経過を見ることは、数値のブレを排除して正確な耐糖能を評価するために重要です。
血糖値は食事や運動、ストレスなどで敏感に上下する性質を持っています。 日本糖尿病学会の基準において、HbA1cのみを繰り返し測定しても糖尿病の確定診断はできないとされています※。 確定診断には別の日に測った血糖値との一致が必要です。 判断がつかない場合は、時期をおいて再検査を行う方針がとられます※。
HbA1cは過去1〜2カ月の平均を示す指標ですが、初期の耐糖能異常を捉える検査としては適していません※。 赤血球の寿命に影響を与える貧血や鉄欠乏などがあると、実際の血糖状態とズレが生じる可能性があります。 そのため内科では、全身の健康状態を総合的に見極めながら経過を追うことが大切と考えられています。
再検査で医師が確認する主な評価項目を下表にまとめました。
| 検査項目 | 確認のポイント | 臨床的な意味 |
|---|---|---|
| 空腹時血糖値 | 10時間以上絶食した後の血糖レベル | 100〜109mg/dLは正常域の中でも「正常高値」として警戒が必要とされる※ |
| HbA1c値 | 過去1〜2カ月の平均的な血糖状態 | ・赤血球のヘモグロビンに結合した糖の割合を測定 ・単独の反復検査では確定診断に用いない※ |
| 赤血球・鉄代謝 | 貧血や鉄欠乏の有無 | ヘモグロビンの代謝回転が変化すると数値が見かけ上ずれる可能性がある |
定期的な測定で推移を追うことで、隠れた異常の早期発見につながります。
高血圧・脂質異常・肥満・家族歴などリスクの重なりを確かめる
高血圧・脂質異常・肥満・家族歴などリスクの重なりを確かめることは、動脈硬化の進行を未然に防ぐために欠かせません。
HbA1c 5.6%は単体では軽微な変化に見えても、他の生活習慣病が重なると血管への負担が大きくなります。 血管へのダメージは糖尿病を発症する前から静かに始まっているため、全身の危険因子を早期に把握することが不可欠といえます。
濃厚な糖尿病の家族歴や肥満がある場合は、インスリンの分泌低下や効きにくさが隠れている可能性が高くなります※。 生活習慣病はお互いに影響し合って悪化するため、血糖以外の要素も並行して整える姿勢が求められます。
診察時に医師が確認する主なリスク要因を下記に整理します。
- 血圧の測定値:高血圧によって血管の内壁に慢性的な圧力がかかっていないか
- 血清脂質の数値:LDLコレステロールや中性脂肪が高く血管を傷める要因がないか
- 体格指数(BMIと腹囲):内臓脂肪の過剰な蓄積によるインスリン抵抗性がないか
- 糖尿病の家族歴:血縁関係のある親族に糖尿病を発症した人がいるか
危険因子が重複している場合は、食事や運動をはじめとする生活改善の緊急度が上がると考えられています。
75g経口ブドウ糖負荷試験が検討されるケース
75g経口ブドウ糖負荷試験が検討されるケースは、通常の採血では捉えきれない食後高血糖や潜在的な異常を明確にしたい場合です。
この試験は、ブドウ糖が75g含まれた検査液を空腹時に飲み、30分後や2時間後の血糖値を測定する精密検査です。 身体が糖をスムーズに処理できるかを直接調べられるため、糖尿病の診断やリスク評価において重要な役割を持ちます。
日本糖尿病学会の報告では、HbA1c 5.6〜5.9%の人は将来の発症リスクが高いグループに位置づけられています※。 空腹時血糖が100〜109mg/dLの方も含め、この段階ではブドウ糖負荷試験を行うことが望ましいと示されています※。 特に高血圧や脂質異常症、肥満などの動脈硬化リスクを持つ場合は、より積極的な実施が推奨されます※。
負荷試験によって判定される3つの区分と基準を次のとおり整理しました。
| 判定区分 | 判定基準(血糖値) | 主な状態の目安 |
|---|---|---|
| 正常型 | 空腹時110mg/dL未満 かつ 負荷後2時間値140mg/dL未満※ |
糖を処理する代謝能力が健康に保たれている状態 |
| 境界型 | 正常型にも糖尿病型にも属さない状態※ | ・いわゆる糖尿病予備群に該当する水準 ・動脈硬化の合併症リスクに注意が必要とされる※ |
| 糖尿病型 | 空腹時126mg/dL以上 または 負荷後2時間値200mg/dL以上※ |
・糖尿病の疑いが極めて強い水準 ・別の日の再検査などを経て確定診断を行う※ |
食後の血糖推移を客観的に把握できれば、生活習慣の改善に向けた具体的な方針を立てられるようになります。
数値を5.5%以下に近づけるための生活習慣の見直し
数値を5.5%以下に近づけるための生活習慣の見直しは、すい臓のインスリン分泌機能を守り、健全な代謝を保つために有効な取り組みです。
この段階であれば、すい臓の疲弊を食い止め、血糖を下げる働きを正常域へ引き戻せる余地が十分にあります。 日々の食事や運動を整えるアプローチは、将来の糖尿病への移行を防ぐ上で有効といえます。
HbA1cを基準範囲へ維持するための主な方針を下記に整理します。
- 血糖値を急激に上昇させる炭水化物の過剰摂取を控える
- 適度な筋肉の活動によってブドウ糖の消費効率を高める
- 内臓脂肪を減らしてインスリンの効き目を改善する
- 定期的な健診や血液検査によって数値の推移を追跡する
早い段階で生活リズムを見直す習慣が、将来の健康を守る基礎となります。
生活習慣の改善で糖尿病の発症リスクは4〜7割下がる
生活習慣の改善で糖尿病の発症リスクは4〜7割下がることは、世界的な大規模研究によって示されています※。
糖尿病の予備群にあたる段階では、対策を行わないと年間5〜10%ほどが糖尿病へ進行するとされています※。 一方で、同程度の割合が正常な血糖状態に戻るとも報告されています※。
米国の糖尿病予防プログラム(DPP)では、生活習慣の改善によって3年間で発症リスクが58%抑えられたと発表されました※。
生活習慣の介入がもたらす身体への影響を下表にまとめました。
| 取り組み項目 | 体内で生じる変化 | 期待できる予防効果 |
|---|---|---|
| 食事内容の調整 | ・食後の急激な血糖上昇を抑える ・インスリンを分泌するすい臓を休ませる |
・食後高血糖による血管への負担を軽減する ・持続的な高血糖状態への進行を防ぐ |
| 有酸素運動と筋トレ | ・筋肉へのブドウ糖取り込みを促す ・インスリンの効き目を改善する |
・運動後も糖が効率よく消費されやすくなる ・食事・運動を含む生活習慣介入全体で発症リスクが40〜70%下がったと報告されている※ |
| 体重管理と減量 | ・過剰な内臓脂肪を減らす ・代謝を乱す悪玉物質の分泌を抑える |
・全身の糖代謝バランスが整う ・HbA1cの数値の改善が期待できる |
日々の小さな工夫を重ねることが、血糖代謝を健全に保つ力につながります。
食事・運動・体重の見直しは医師と相談しながら進める
食事・運動・体重の見直しは医師と相談しながら進めることで、個人の健康状態に即した無理のない対策を安全に継続できます。
自己流で極端な糖質制限を行ったり、急に激しい運動を始めたりすると、健康を損なう恐れがあるため注意が必要です。 HbA1cの数値は、貧血や鉄欠乏、腎機能の低下などによっても変動する可能性があります。 全身の血液検査や既往歴を医師とともに確認し、総合的に判断して方針を立てることが推奨されます。
生活習慣を見直す際の着眼点を次のとおり整理しました。
- 食事:主食となる炭水化物を適量に抑え、食物繊維が豊富な野菜や海藻から先に食べる
- 運動:早歩きのウォーキングや階段の利用など、日常生活の中で無理なく活動量を増やす
- 体重:無理のない減量目標を医師と相談して決める
- 再検査:取り組みの成果を確認するため、医師の指示に従い時期をおいて血糖とHbA1cを測り直す※
医師や専門スタッフの助言を取り入れることで、安全かつ効果的に健康管理を進められます。
受診の準備と当院のご案内

受診の準備と当院のご案内は、健診での指摘を放置せず、初期の段階から身体の管理を始めるために把握しておきたい事項です。 HbA1c 5.6%は糖尿病と診断される段階ではないものの、将来の発症リスクを見据えた定期的な確認が求められます。 血液検査の数値を正しく評価し、血管を守るための第一歩として活用できます。
健診結果票とお薬手帳を持参する
健診結果票とお薬手帳を持参することは、医師がこれまでの検査推移や体調の変化を把握し、適切な方針を立てるために欠かせません。
受診当日に持参していただきたい物品を下表にまとめました。
| 持参するもの | 理由と確認のポイント |
|---|---|
| 今回および過去の健診結果票 | ・過去数年分の数値を比較し、悪化の傾向を確認する ・血糖値以外の脂質や血圧などの数値を総合的に評価する |
| お薬手帳(内服薬がある場合) | ・服用中の薬剤が血糖や赤血球の代謝に与える影響を確認する ・貧血治療薬など検査値に影響する薬がないか調べる |
| マイナンバーカードまたは保険証 | ・保険診療による詳しい検査や問診を円滑に行うため ・過去の特定健診情報やお薬情報の共有をスムーズにする |
糖尿病の診断においては、HbA1c単独の反復測定ではなく血糖値の確認を組み合わせます※。 診断が確定しない場合は、時期をおいて再検査を行う方針がとられます※。 空腹時血糖は、10時間以上の絶食後に測るのが目安とされています※。 受診当日の食事については、予約の際にご確認ください。
クリニックファーストエイドの内科での対応と診療時間
クリニックファーストエイドの内科での対応と診療時間は、忙しい方でも無理なく通院できるよう柔軟な体制を整えています。
当院の内科では、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病に対応しています。 当院の健康診断でも、空腹時血糖とHbA1cを測定しています。 境界型の段階であっても動脈硬化による合併症のリスクは高まるため、早期の把握が大切と考えられています※。
当院の診療スケジュールを次のとおり整理しました。
| 曜日 | 診療時間 | 備考 |
|---|---|---|
| 平日 | 9:30〜14:30 / 16:00〜21:00 | お仕事帰りや昼休みの時間帯にも受診できます |
| 土日祝 | 9:00〜13:00 / 14:00〜18:00 | 土日祝も受診できます |
当院は休診日を設けず、JR神田駅から徒歩0分の立地にあります。 最終の受付時間は診療終了の15分前までです。 ご予約はお電話のほか、WEB予約や公式LINE(24時間受付)からも承っています。 健診で少し高めの数値を指摘された際は、放置せずにご都合のよい時間帯にご相談ください。
まとめ
HbA1cが5.6%と指摘されたら、内科で再測定を行い、隠れた血糖の異常や動脈硬化のリスクを確認することが大切です。
直ちに糖尿病と判定される段階ではありませんが、将来の発症リスクが高まり始めている警戒ラインといえます。自覚症状が出にくい初期のうちに生活習慣を整えることで、数値を正常域へ引き戻せる可能性が十分にあると考えられています。
健診結果票をご用意いただき、ご自身の身体の状態を把握するためにも、まずは内科でお気軽に相談してみてください。
参考文献
- 日本糖尿病学会「糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版)」
- 日本糖尿病学会「糖尿病診断基準」
- 厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」
- Kawahara T, et al. Incidence of Type 2 Diabetes in Pre-Diabetic Japanese Individuals Categorized by HbA1c Levels: A Historical Cohort Study. PLoS One. 2015;10(4):e0122698.
- Tabák AG, Herder C, Rathmann W, Brunner EJ, Kivimäki M. Prediabetes: a high-risk state for diabetes development. Lancet. 2012;379(9833):2279-2290.
